トイレ
船田 仰
一口でシュークリームを駆逐して
街はひとびとを覚えていく
だれかに合わされた周波数を指でいなしながら
トイレでほつれた糸を引っ張ってる
女の子たちが太陽を罵倒するので
ぼくも何だか空を見上げて
その対象をさがすふりをする
ベイビー、べつに意味を売らなくていい
欲しくないから
夏から夏へ渡されるバトンは
同じような重さで僕らに降るんだ
真っ白な靴の男の子たちが
だれかを排除している
見上げれば太陽はまだ存在してた
空から飛び降りてなかった
さっき
学校のトイレに流された悪意を
二階の教室でうけとってしまったんだ
ベイビー、見た感じきっとこれはぼくの
昨日からの倦怠でしかない
スキルではどうしようもないこともあるのかな
欲しくないけど
きっとそうなんだろう
両手の釘跡から血がながれつづけて
ぼくは眩暈をおこしている
透明な血が今日もトイレから
だれかの両手へ向かう
女の子たちは白い靴を罵倒して
ぼくは意味を駆逐できずにいる
トイレのすみっこで