トイレ
船田 仰

一口でシュークリームを駆逐して
街はひとびとを覚えていく
だれかに合わされた周波数を指でいなしながら
トイレでほつれた糸を引っ張ってる
女の子たちが太陽を罵倒するので
ぼくも何だか空を見上げて
その対象をさがすふりをする
ベイビー、べつに意味を売らなくていい
欲しくないから

夏から夏へ渡されるバトンは
同じような重さで僕らに降るんだ
真っ白な靴の男の子たちが
だれかを排除している
見上げれば太陽はまだ存在してた
空から飛び降りてなかった
さっき
学校のトイレに流された悪意を
二階の教室でうけとってしまったんだ
ベイビー、見た感じきっとこれはぼくの
昨日からの倦怠でしかない
スキルではどうしようもないこともあるのかな
欲しくないけど
きっとそうなんだろう

両手の釘跡から血がながれつづけて
ぼくは眩暈をおこしている
透明な血が今日もトイレから
だれかの両手へ向かう
女の子たちは白い靴を罵倒して

ぼくは意味を駆逐できずにいる
トイレのすみっこで




自由詩 トイレ Copyright 船田 仰 2004-05-28 20:47:42
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