輝け
ワタナベ

高速で自転し公転する地球に
ふりおとされまいと必死にしがみついている自分だ
朝が来て昼が来て夜が来るめまぐるしい展開に
なんとかついていこうと必死で追いかけている自分だ
あっという間に0に近似されてしまう
小数点以下第何十位のちっぽけな自分だ
おびえながら縮こまりながら、それでもなお
両手で握り締める鉄のナイフの確かな質感と
そのひんやりとした感触を胸に抱く自分だ

脈打つ心臓が
どくん、どくんと血液を送り出している
この力強い鼓動だ
毛細血管の隅々まで行き渡る血液と
血管を収縮させる煙草の煙だ
しがみついた大地に残した確かな爪痕と
爪痕から滲み出るかすかな希望だ

今まで流された涙と
これから流される涙の
そのうちのほんの一握りの
この目から溢れては落ちる一滴の涙よ
輝け

もっと輝け



自由詩 輝け Copyright ワタナベ 2004-05-28 17:58:39
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