葉考
木屋 亞万

相変わらず愛だの恋だのは人気者で
夏ともなると入道雲や青空が歌いだす
どの番組も同じに見えてしまう
入り込んでしまえば
違いは歴然なのだろうけれど

ほらまた
蝉が時雨と共に夏の奏鳴曲を
風鈴が簾と並んで風を交わす
扇風機は吹流しを泳がしている
蚊取り線香は手持ち花火のそば
夏は巡ることが好きなのだ
溶けてくようにひと夏の恋が
ジと消える

全く同じ言の葉が集められることは
枯れていく葉、色を変える葉があるから
もうないだろうと思う
数学的組み合わせでは証明できない
葉同士の結びつきがある

台風に絡み合う樹木
水を口移す枝葉
木に這う朝顔
風に撒かれる猫じゃらし

遊びに見える
簡単に思える
どんな大木の枝も
浮ついてるように見える

集まった葉が影響しあい
時に無表情で
時に散っていく

空 恋 夕暮れ 竹の細波 今 夕立



未詩・独白 葉考 Copyright 木屋 亞万 2007-08-29 22:06:55
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象徴は雨