包まれて
一ノ瀬凛







そこにあった

小さな温かなもの

確かにここに存在した



いつのまにか

幸せを勘違いしていて

私の目はくもりかけていた



世界が発展して

情報をくれるのはいつだって

目の前のブラウン管



単調な口調でアナウンサーが話す

戦争 政治 犯罪

すべて人事のように



見るものが大きすぎて

身近なところに目を向けるのを

いつの間にか忘れていた



それをこんな時代だからと

勝手に決め付けて

冷たいと思った世の中



光が見えた

ふと視野が開けたような

差し込む柔らかな光



そこにあったのは優しい現実

幻でも偽者でもない

いつもの現実にそれはあった



ずっとずっと前からあった

私の周りには

たくさんの笑顔があった



私はずっと

この笑顔に包まれて

生きてきたんだ



胸が締め付けられた

空もこんなに青かった

その中で私も笑っていたんだ



小さいけれど

大きな幸せに

包まれて




















自由詩 包まれて Copyright 一ノ瀬凛 2007-08-29 22:01:37
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