創書日和「砂」  ないものねだり
士狼(銀)

蜃気楼を信じて
砂漠に打ち上げられた鯨

現実から逃げ出して
淡水の夢を見たけれど

安らぎは
もっとずっと
遠かった

求めたものと
与えられたものと

砂粒みたいに
隙間から零れていくものと

座礁して
初めて気がついて
泣けば泣くほど
心は枯れていって
本当は
知らないふりを
していただけで

誰かに甘えたいだけだった


自由詩 創書日和「砂」  ないものねだり Copyright 士狼(銀) 2007-08-29 12:23:54
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