鉄軌分界点。
鯨 勇魚


車窓からの透き通った淡い光は流れ空の輝いてしまう唐草に巻いて、ぼやけている。

遠く波打つ一線に、静かな漁り火。それは海岸線の、むこうに、ある地平線との境。

(漁り火はね集まるの。たくさん。でもね、綺麗だけどね。帰れなくなるの。)

いけない、いけない。と瞑ります。
開いた時には季節外れの(デルタ)ををみつけたことで、
あの夏の星座の名前を口ずさんでしまった。

タタン タタン トタン トタン

近くは、はやくて残光の伸びるが、夢。
見つめていることは出来ない。
あれは、なんだったのかしら。
と、散らしてしまえば、
(一瞬も過ぎて。)
過去としたい。
卑怯な、自身。

遠い、は、よくみえて、
あれは船、波、街灯。
流れは。灯台回転光を瞳は反射してまばたきをしてしまえば、
細かくまばたきをしてしまえば。
銘々、よく満ち溢れはじめました。

かすかに見えるふたりの先。
綺麗に、ぼやけて落ちていく輝きへ唇音。かさねて、

ザタン タタン トタン トタン

時間の繋ぎが向こうの輪に触れて。
離れてく。
聞こえなくなる前に、
新しいが聞こえてくるんだ。

(虚ろ。うつろに睡魔は優しい。)

一瞬の大きな破音のように次からまた次から、
刻み込んで鉄橋から知る。
優しさで、傷つけました。

鉄軌分界点です。

本当を、知りたかった。
見慣れた景色。夜でいても。
あの裏手の路地には、草。
黄色がたくさんの。
秋やら、光には、音があり、

昼間に笑顔したあとの大地への恵みと解釈する夜露の。あれは、

透き通っている。

色合いを変えて、それは、
紅葉の楓。透明性の秋。

桔梗色の想像。夜に見た夢という現実。
を、想像した、現実。

今、現在を、時刻を、ガランと伝えられて、深く被る、帽子。
もう少しで、着くのですよ。

鉄軌分界点を過ぎ。

漁り火は、綺麗だった。
窓の遠くにはもう、
見えないものを見つめて、
握りしめた。

(携帯電話は機能してはいなくて。)

電信柱は過ぎてそれは繋がっていて。
ゆっくりと、

ザタン タタン トタン トタントタン。トタン。

の、停車。


改札を過ぎて。
心の通過儀礼としてしまえばいい。
あれは、あるべき場所にあった。
それぞれ、生きよう。

(北国から、南国への。)

夜に、やはり。
煙草をくわえては、咳き込みます。
狼煙をあげて、ただいま。と、
各々の居場所を知らせた。
そうでない、
歩き始める人たち、
知る人への電信。

あなたがたの家路を旅先をだれかしらが、待っているのです。
そして、あるべき場所に、少しだけきがつく時々に、
鉄軌分界点があるのです。

そして、今。
向かう場所を、確かに持ち始める。
間違いと、言われようとも、

それは、どこにでもある。
なにかしらの。
秘密裏にあるのですから。





自由詩 鉄軌分界点。 Copyright 鯨 勇魚 2007-08-25 14:13:44
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