夕立ちのなかで
風音

ふたり向き合って立ちつくした
夕立の中

ごめんね
サヨナラをいうのが
遅かったね

キミはハンドバックから
夏の名残りのキャンディーを取り出す
なかなか紙が剥がれない
そう言って泣き出すキミは

ほんとうは
もっと言いたいことがあったはずなのに

びしょぬれで
泣いてるキミと
泣きたいボク

こんなに好きだけど
息もできないくらい抱きしめたいけど

ボクはきっと
キミを好きになりすぎたんだ

雨が降り注いで
ボクとキミの
穢さや哀しさや
そんなもの
削ぎ落としてくれればいい

夕立がいつまでも途切れぬよう
キミがいつか笑顔を取り戻せるよう

雨の中で
ボクはそっと祈っていたんだ


自由詩 夕立ちのなかで Copyright 風音 2007-08-20 20:12:30
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