電燈
水町綜助

薄く目を開き
ぼんやりと霞む
蛍光灯に
壁や
柱は
照らされて

土壁に
生まれた
生きた
死んだ生物の
擂りつぶれた亡骸が
ジッ と
燐光を放っては
塗り固められているので

吐息やら
雨滴のけぶりやら
漂って
水を吸った柱に
溶かされた生物の亡骸が
あまく
染み込んでいるので

僕という人間が連続していることなどは
実に分かりやすく。

咀嚼する
他者の肉体と
うまみのしたたり 体液は
そのまま重なりあってつながってゆく
指で描いたような
(しかし描けない)
(または線状の記憶のみのこしてきえる 光の傷の)
輪のようなもの

うまれるしにはじめる
うまれるしにはじめる

ルビをふりつづけ
横へ連なる

そういった
発生(裏がえして)はじまりの死 に
安息できなく
また
それをつきつけられれば
そのにぎって
ひらかれる
手のひらの動きの速さに
かかわらず泣く

泣く
泣く
居なくなってしまう
もう会うことは出来ない
たとえ
向日葵に会えても
それが濡れた土を盛り上げていようと
面影は見出せない

向日葵の花弁をひとつ
つまむ
引き抜くことはしなくて
耳朶をつまむように
揉んで
すこしこちらに向けて
なぜ
太陽を臨むのか
尋ねて



自由詩 電燈 Copyright 水町綜助 2007-08-20 03:07:17
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