太陽
水在らあらあ
光がきれいだといいますが
朝日が夕日がきれいだといいますが
太陽で人は死ぬんだと思うわ
―水町綜助
やられた朝顔
じょうろ一杯のみず
俺はトリスで
女のことなんか
足長蜂
雀蜂
みんみん鳴く蝉
国際電話
呼んだらいい
新しいフランス人の恋人
呼んだらいい
新しいブラジルの太陽
横浜のかもめは小さいな
飛び方もかっこ悪いな
シーバスが知らん顔して通り過ぎる
港の水は黒くあきらめて
女のことなんか
知らなきゃよかったな
心なんて ちんちんなんて
なきゃあよかったな
美しい世界を
見てるだけでたくさんだった
美しい世界を
おれは愛して
一番愛した世界は
おまえの中にあって
おまえは女で
おれは男で
魚が跳ねたね
ほんのすこし
水平線を見たね
無限を 見たね
おまえは自由で
おれは血まみれで
おまえは薔薇のように香って
おれは百合のように濡れて
冷やし中華食べよう
そこに夏があるから
こんなに暑いのに
手 つなぐんだね
結局さ
おまえは
おれにとって
なんなのか知らない
それなのに
見なよ
こんなに
おまえを
呼ぶんだ
呼ぶんだ
生きてゆこうと
思うんだ
小さな鳥たちが鳴き止まない
そんな小島に流れて
おまえだけに愛されて
おまえだけを愛して
昼と夜が確実にあって
太陽と月と同じように
おれたちは謙虚な軌道に沿って愛して
なににも逆らわなくて
海草ににて美しくそよいで
遠くの神々に手を振ったりして
一日中笑って
時々ひどく泣いて
慰めて 慰められて
それはすべて体で
言葉は潮騒にまぎれて
それでも
ひとつだけ
ひとつだけ
焼けた肌の下で
だらけた口づけの中で誓う
どんな太陽の下でも
水があれば生きる
どんな星空の下でも
おまえがいる限り生きる