このような世界
水町綜助

空も高くて
青いから
遠くまで出かけようと
二歩歩くと
三歩目を降ろすところに蟻がいて
踏みたくはないので
停まろうとしたが間に合わず
足を上げて見ると
蟻の腹は空き缶のように潰れていた
捩れた体の壊れた部分がゆっくりと
やわらかそうに
少しだけ戻ろうとして
もう死んでいるンだろうか
あと少しは生きているんだろうか
いずれにしても僕は事実今日殺した

僕は今からどんな景色を見に行くのか
どれだけの眩しさに目を細めるのか
歩ききれないほどに道は伸びて
二十六、五センチほどで踏み切れない場所が夥しい
このような世界で


自由詩 このような世界 Copyright 水町綜助 2007-08-10 10:20:26
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