名前にこめる願い

おまえが
学校の宿題だといって
わたしの名前のゆらいはなに
と聞いたときに
ついつい懐かしさを覚えている自分が
少し嬉しい

母さんに聞いてみなさいと
僕がおまえの母にパスを出すと
おまえは
お母さんにきいたらお父さんにきけっていわれた
と困った顔をして

おまえの名前を
おまえの母と二人で決めたとき
いつかおまえに
その由来を話すことを想像していたことを思い出して
すこし恥ずかしい



人は
いろいろな願いを
名前にこめます



特に親が子の名前を決めるときは
ずいぶんと悩むものです

強く生きてほしい
綺麗になってほしい
優しい子になってほしい

この時ばかりは
人は凄く無垢で





人は
いろいろな願いを
名前にこめます



でも

親が子の名前をつけるときに
願うものは唯一つなのです


きっと同じクラスの
いつもおまえが話してくれる
ゆきちゃんの親だって

きっとおまえの
クラスの担任の先生の親だって

おまえがこれまで会った人全て
おまえがこれから会う人全て
おまえがこれから会う人の親たちは全て




世界中に




唯一つの例外もなく




名前という名前が生まれてから





唯一通りの例外もなく





親が子の名前にこめる願いは


子の幸せなのです




自由詩 名前にこめる願い Copyright  2007-08-08 20:15:28
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