昼間の父さん
服部 剛
路面に
陽炎
(
かげろう
)
ゆらめく
真夏の正午
長袖の作業着に
ヘルメットをかぶる
眼鏡のおじさんは
汗水たらし
鉄パイプを
担
(
かつ
)
ぐ
路面には
夏空を仰いだまま
力尽きた
蝉
(
せみ
)
焼けつく日射しに干からび
ぴったりと
時間
(
とき
)
を止めた
亡骸
(
なきがら
)
の周囲に
おじさんの
汗のしずくが
ぽとん、と落ちた。
家で待つ
可愛い妻や子のために
今日も明日も明後日も
鉄パイプを運ぶ
おじさんの背中
陽炎の向こうに
滲んでゆく
自由詩
昼間の父さん
Copyright
服部 剛
2007-08-06 20:20:07
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