森園
nm6

[1]
その森園にさえずるのは、鳥ではない。この降り続く雨が、パラホロロパラホロロとポリフォニックなリズムを刻んで増幅して、ぼくらはいつのまにか、見えない明日へ見栄を張るため消えている。水滴をのぞきこめばひろがる緑に、満ちあふれるジャズと甘くしめる匂い。夜の隙間に月光がふらふらと踊らせてくゆらすのは、葉だ。

[2]
ぼくが好きなのは3クラスの森園さんで、決して2クラスの佐藤さんではない。森園さんのことだけ考えていたときにはこんなことはなかったし、吐きそうなのは生理現象なので仕方なくて、つまりぼくらは、決して刺激を求めてなんかいない。今もぼくらに、止まらないクラスルーム。手を挙げてここにいます。アイム・ヒア。

[3]
今日はなんだか、朝起きたときからどうにも森園だ。なんだかがらんとしているし、こんなことは初めてだけれど、とはいえ、こうにも気持ちがいいものだとは知らなかった。珈琲の香り。やかんのすすけた部分。漫画のようなタイミングの、あのときの間違い。そういえば、そんなだった。損をしているのは誰なんだろう。

[で]
この降り続く雨が、パラホロロパラホロロとポリフォニックなリズムを刻む。夜の隙間に月光が踊らせて、ぼくらはここぞと手を挙げて、朝起きたときからどうにも森園で。ぼくの好きなひとたちはいつもそうして、ひとりで満ちあふれる。たまらなく愛おしいのは、深く包み込んで何ひとつ言わない、明日のぼくらだ。


自由詩 森園 Copyright nm6 2004-05-22 01:58:22
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