重みを確かめては来なかった
千波 一也
手のなかに
ことばを握ることがあったね
あるはずもない質量に
身を任せてしまうことが
あったよね
どんなこころ模様にも
ときは流れてゆくものだから
いつか
わたしは
立ち止まる
おなじ景色の
おなじ重みに
正確な時刻を誰にも聞けぬまま
あのとき、とだけ
つぶやいて
いつかわたしは
立ち止まる
手を振るひとも
首をかしげるひとも
それはひとつの
反逆だったね
星の名をもらわずに
生きることをつとめる仲間としての
証だったよね
なんてことだろう
触れていたものが
ようやくみえる
ただいま、だとか
おかえり、だとか
どれも静かにこの内にある
ほんとうは
いまでも変わり続けているけれど
そういうことから
逃げないために
あるいは上手に逃げるため
すべての肩に
伝えよう
ありがとう、こそ
起源だったね