からころ
霜天

からころと音のする
そんな欠片が散らばっていて
拾い上げると色とりどり
思い思いに光を反射している

広い砂浜
両手を広げても足りない
誰もいない静けさは
ただ波音を響かせる


波打ち際を犬が走る
何かを見つけたようで
何を見つけたかは見えないけど
きっとからころと音のする
そんなものだろう

私はそんな欠片を
拾い集めなければと思いながらも
まだいいかと乾いた砂に寝転んでしまい
そんなふうに そんなふうで
抱きしめそこねたものが
あちこちに散らばっているんだろう
ここじゃない どこかにも


波打ち際のぎりぎりのところを走る犬が
次第に加速していく
何を追っているのか見えないけど
きっとからころと音のする
そんなものだろう

きっと彼は見つけたのだ


自由詩 からころ Copyright 霜天 2004-05-20 02:25:08
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