暗い日曜日
六崎杏介

薔薇食む墓場のランタンと
タルトタタンを焼く釜戸
薫る薪の火泣く音色
ネイビー展がる夜のビロード
溢れる熱の鳴咽の煤で
すっかり黒く、染まる空飾る
六花の星座は地下の骨
墓場に響く言い得ぬ声の
死したポエトの四肢を食む
ランタン揺らす、貴方に捧ぐ
タルトタタンを焼く香り
私を燃やす薪の赤い
瞬く目配せ、魔女狩る悦楽
欠落します足と、痛覚の間に
産まれし香りは薔薇の稚児
釜戸の四隅に蹲り
壊れた秤を火箸で叩く
タルトタタンを焼くリズム
ランタン揺らす冬の主
裸足の爪から垂る油の涎
形を亡くすヘクセの腹に
刺さる火箸に薔薇の声
吠えし黒馬の牽く馬車を
駆りし冬の主の刈りゆく御首
釜戸の四隅の薔薇の首
私の落とせし赤き恋
タルトタタンを焼く香り。


自由詩 暗い日曜日 Copyright 六崎杏介 2007-07-11 21:20:37
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