トレジャー
たりぽん(大理 奔)

花を褒めるような言葉で
君を傷つけてみたい
月を愛でるような文字で
君に刻んでみたい

どんなにやさしくて
気持ちのいい言葉も
押し開くことのできない
君の肌の下
暖かいものが満ちた
懐かしい色の
残酷な潤いが
僕を忘れないだろう

  沢をつたって鉱脈を目指し
  ハンマーで割られ
  はじめて空気に触れる
  安山岩の瑞々しさ
  それが今日の僕の野生
  ほんのりと
  それが紅く見えるのは
  砕けたかけらで裂けた
  額からにじむ、君と同じ色で

約束はしない
だから忘れてもいい
でも
君を傷つけたい
風を褒めるような言葉!
星に祈るような文字!

  神木の根っこに
  御神酒を注いで
  分け入るのは深い森
  その奥に潜む
  君を捜して
  額から流す
  懐かしい色の






自由詩 トレジャー Copyright たりぽん(大理 奔) 2007-07-11 00:01:59
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