コマクサ
たりぽん(大理 奔)

好きなところを数えるのは
大天井岳のてっぺんで星を
数えるようなものだから
その暗闇まで含めて
全部が好きなんだ

そしたらあなたは私を
うそつき、と言った

ほんとうには
遠かったかも知れないけど
嘘ではなかったんだよ
ほんの少し
夜空の広さを知らなかっただけ
そうだろ?
記号みたいな名前の星を
いくつ数えても
ちっともあなたへの言葉にはならない

燕岳のほうから
ホシカラスが飛んできて
天幕の上に影をひらめかせて
夜明けに消えていく星が
数えられる程に
なる時刻

コマクサ
コマクサ

星を結んで
あなたの姿を描けたら
うそつき、とは
いわないで






自由詩 コマクサ Copyright たりぽん(大理 奔) 2007-07-10 18:32:16
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