烙月
たりぽん(大理 奔)

桜花を散らせ
次の季節が吹かせる
湿った風に
なびく美しさを隠したまま
洗い髪みたいに
君は濡れている

よこぎる鳥を数えるように
ひとつひとつ忘れていく
透明な霧の向こう、輪郭

それでもあなたの
たくらみは成功する
いくつかの
胸の書架に
その書物を差し込んで

烙印を押す

消せない記憶は
傷跡よりも痛く
火傷よりも深く
月蝕の輪郭が
夜を灼く

季節が葬られるたびに
湿った風が
草木を湿らせて
辿るように
刻んで濡れる
あなたの石





自由詩 烙月 Copyright たりぽん(大理 奔) 2007-07-08 23:32:49
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