「横恋慕喫茶ランデヴー」にはエシェロンも無い
虹村 凌
着信履歴がお前の名前で埋められてゆく
昔の事が頭を過ぎり苦しくなって俯く
全てを無しにしたがってたのはお前だったのに
泣き叫んで全てを無しにしたがったのはお前だったのに
膝が笑い始め力が抜けてゆく
振り解こうと抗い頭を上げた先に見えるのは
知らない誰かの顔と知らない誰かの顔
そして知らない誰かの顔
好奇心に満ち満ちた悪意の目
シェリー
雑木林の恩恵
リンダでさえ言ってくれなかった事を
シェリー教えておくれ
知らない所で人に出会ったらどうすればいい?
シェリー教えておくれ
どうすればいい?
後ろ髪を掴む不安材料を掻き消す爆音は
知らない誰かの神経を逆撫でする
許して下さい
許して下さい
許して下さい
今にも腰が砕けてしまいそうです
泣いて許される事なら幾らでも涙するから
ラバーソールを履くのは
地に足がついていない事を見せたいからじゃない
ラバーソールで踏み出す一歩
向かう先は横恋慕喫茶ランデヴー
エシェロンも何も無いその店内でなら
何を言ったって構いやしないだろう