黒髪
和泉 輪

電線に止まって
人を見下ろす鴉
でさえ貴女の
髪の黒さに憧れる
夜空のように
貴女の黒髪は深く
そして遠い川のように
流れている


無邪気な子供達が
笑いながら
貴女の黒髪を通って
学校へ行く
中間試験を
受けている学生が
貴女の黒髪を
解答欄に記入する


懐かしい性質
を持つもの達は
すべて貴女の黒髪に
帰ってゆき
年頃の可愛らしい神様が
貴女の黒髪に
自らの姿を映して
うっとりしている


もうすぐ私の
青春も終わる
私は何かを
諦めかけているから
まるで呼吸するように
その黒髪を
貴女の黒髪を
私は見つめています


自由詩 黒髪 Copyright 和泉 輪 2004-05-16 20:43:54
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