今日、産まれたきみへ
Tsu-Yo

きみは激しく泣いていた
初めて背負う肉体の重さと、
もう止まることのない時間の速さに怯えて
予想もしていなかった祝福と、
手荒い歓迎の痛みに驚いて
きみは激しく泣きながら産まれてきた


そんなきみも
やがて
今日をしっかり忘れるだろう
その涙が乾いたとき
一人できちんと
おしっこができたとき
当たり前だ、という顔をして
上手に立つことができたとき
今日をしっかり忘れるだろう


でも忘れないで欲しい
きみもいつか
静かに
口をつぐむ日が来るということを
残される者のため、
それから始まる者のために
泣き声と同じだけの沈黙をたずさえて
私たちは生きているということを
忘れないで欲しい


今日、動き出した
すべてのきみの時間に
幸あれ





自由詩 今日、産まれたきみへ Copyright Tsu-Yo 2007-06-24 04:43:51
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