チョン 5
砂木

洞窟が歩いている
しっぽがついてる
持つと 取っ手だ

時計のおしゃべりで
眼が咲いていく
片側通行の車線へ
ながれ星がころんでくる

焼き海苔で包まれた過疎地
望遠鏡のような振袖の袖口

爪につく蜂蜜のふてぶてしい誘惑
沈んでいくまつ毛のはりついた文庫本

墨火がとけて ちょん
名のない屑です チョン

崩れた水だけ 落としておいて
拾い集めて 吠えろだなんて

心臓なんていらない
傘の中に たちつくす
ひとつ 覚えの

小銭でしか鳴らせない
バケツの中に 十円

はみだした おつりをつる
腕時計の奥
埋め込まれた 

ちょっときてみただけ
だよね 飛んで

けんけん
チョン!



自由詩 チョン 5 Copyright 砂木 2007-06-20 23:42:27
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