真っ赤な手、真っ白なふとん
大小島

毎日ふとんを干す。
晴れの日も、曇りの日も、雨の日も。
風がつよくて、ふとんがおちそうになっても。
毎日ふとんを干す。

うそだと思っているのなら
私のうちのベランダをみてみるといい。
いや、ひょっとしたら、あなたのうちのベランダでもいい。
ひょっとしたら。
毎日布団を干しているんだよ。

おとなりさんから
声をかけられる。
「あら、まぁまいにちまいにちごくろうさま」
私は、あんまり御近所付き合いをしたことがないので
へへっと笑って言いよどむ。
するとおとなりさん、気がいい人なので
布団たたきなんかを貸してくれる。
私があんまり自分の手で布団をたたくから。
私の手は真っ赤。
血が流れているから。
布団にはつかないのに
手のひらは真っ赤。
真っ赤な血をいつかおとなりさんが
吸い出してくれるんだ。

私、いま、手を見てます。
ふとん、ほしたふとん、で寝ています。

私はみっつ嘘をついた。

私は一人で、部屋にいます


自由詩 真っ赤な手、真っ白なふとん Copyright 大小島 2007-06-20 06:50:11
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