「 ひまわり 」
服部 剛
転がりそうで
転がらぬ
歪んだ花瓶に生けられて
まばらに咲いた
ひまわり達
打ちひしがれて、皺くちゃに、
首を折って俯く者。
背丈を伸ばした頂で、
太陽の如く燃える者。
まばらな群に、唯独り
枯れた花弁を開く者。
種の詰まった中心に、
血走る小さい一つ瞳で
誰に交らず立っていた
( 黄金の、額の内は
( 百年前の「黄色い家」 *
( 時間が止まった
( 素朴な部屋
引き裂かれた友情を
じっと視る
孤独な画家の
太陽の瞳
* ゴッホはゴーギャンと共同生活を始めた「黄色い家」で
「 ひまわり 」を12枚描いて部屋に飾ろうとしたが、
その生活は2ヶ月で破れ、描いた「 ひまわり 」は7枚だった。