窓辺
山中 烏流

まだ、淡い光の粒が
生温い風に乗って
私の目の前を
きらきらと通り過ぎた
 
限り無く空に近い
窓辺から首を出して
その、行く手を追い掛けても
追い付ける筈は
なく
 
 
 (目でとらえた)
 (刹那、)
 
 (きらきらと)
 (去って)
 
 
鳴り始めた
羽の震える、音が
鼓膜を激しく揺らして
世界を歪めていく
 
途切れ途切れになった
意識を繋ぎ止めるかのように
私は、深く
澄んだ蒼を吸う
 
 
 (瞬間)
 
 (私は、蒼く)
 (光り)
 
 
空に佇む
白さを増した太陽は
まだ、私を灼くことを
忘れていて
 
のんびりと構えながら
そっと
ウインクをする
して、雲へと隠れた
 
 
 (そして日陰は、)
 (どこまでも優しく)
 
 (在り)
 (ただ、在り)
 
 
その優しさに
甘えることを決めた、後
私は目を伏せて
静かに風を待つ
 
 (今はもう)
 (羽音は、止んで)
 (静かな時が)
 (流れている)
 
 
緩く笑みながら
視線を高く上げた先に
きらきらと光るものが
見えていたのかは
 
 
定かでは、ない。


自由詩 窓辺 Copyright 山中 烏流 2007-06-17 10:02:25
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