初恋
小原あき

空気で身体を洗って
空を仰いで
膨大な宇宙に
飛んでいく




あのころの
空は
青く澄んでいて

忘れられない横顔
長い睫毛が
煌めいていた

そのすべてが愛しくて
宝箱にそっとしまった

思い出は
悲しくても
しっかりしまわないと
零れてしまう

白い砂みたいな記憶
さらさら、と




思い出になることも知らずに
ひたすら生きていた
想像と希望の日々を
日毎、成長を繰り返して

一瞬の嵐のように
感じた日々も
実はそよ風のように
ゆっくりと優しく
きらきら、と


輝いていた


それは生きている
証だった


すべてだった


君を思い出す


甘い香を含んで


そればかりが
膨らんだ風船のように

それとわたしとは
ひとつの白い紐で
永遠に繋がれている


儚く
強く




あのころの
空は
青く澄んでいて

すべてが
鮮やかに
きらきら、と


今でも
紐を手繰り寄せて

風船の中は
甘い香が
増すばかりで












自由詩 初恋 Copyright 小原あき 2007-06-17 09:36:32
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