*砂漠に花を咲かせましょ*
かおる


肌の表面から熱を奪ってしまう
チリチリと焦げ付くような視線が恋しい

ストーカーは勘弁だけど
犯罪一歩手前の絡み付く視線は、どこ?

釣った魚に餌はやらないのが信条の男ばかりで

まゆちゃんのおかあさんとか
けんちゃんのおかあさんとか
田中さんの奥さんと言う括りで呼ばれて
あたしの名前はどっかで空中分解されちゃった

ベターハーフなんて言う甘い呼び名で
家庭の礎のひとつに
ちゃっかり組み込まれてしまったから
雑用と言う役割をしっかり割り当てられた感じ

イベントを堪能するには
日常の合間に様々な事柄を周到に
自分で用意しておかないとだめで

ここで煩わしいと思っちゃうと
その行事が簡単に削除されてしまう

何かと不自由に命令されていたけれど
庇護されていたこどもだった時代が懐かしい

咲かせる事の出来なかった真っ白な夢の蕾を
胸の奥に幾輪もいだいて

日常に塗れ疲れ果て
砂漠化する毎日に
かわいていく

贅沢は言わない

ひび割れてしまいそうな時に
ほんのささいな一言で
しっとりと心が
とろけてしまう、そんな言葉がほしい

行ってきますのおざなりのキス

ありがとうってこの前、いつ言ったかな


自由詩 *砂漠に花を咲かせましょ* Copyright かおる 2007-06-16 08:46:18
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