一人寝の子守唄
アマル・シャタカ


スコッチが傍らにあって
よく俺の話を聴いてくれたものだった
時には氷で返事して
盛り上がっちまうと
すべてを吐き出せる
そんな関係だった
ロックの多かった俺は
ことさらにお前を必要とした時期があったのも事実

氷で歪むライトの中に
世界を見て
すべてわかった気分になったことも
懐かしい思い出だ
琥珀のそれは
遠き日に溶けて消えた

自棄酒なんてことはしたくなくなって
知らぬ間にスコッチから離れた俺に
お前はもう答えてはくれない
今はただ
麦酒がときどき戯れにくる程度
気の抜けてしまう奴らのことだ
どうせ俺の話など
真剣に聴いてはいまい

もう涙で割って飲みたくはない
恨みで持って割りたくはない
せめて誰かを想うのならば

そう呟きながら
聴いてなどいない麦酒に語る
空いた抜け殻の缶たちが
渇いた音で俺を嗤った


自由詩 一人寝の子守唄 Copyright アマル・シャタカ 2007-06-15 17:13:19
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