無数のあなた
たもつ
買わなければいけないものがあるのに
あなたはまた、あなたに似たものを買ってしまう
部屋はあなたに似たもので満たされていく
あなたに似たもののほとんどはいらないものなので
あなたに似たものがなくなることはない
あなたに似ても似つかないものばかりがなくなっていく
あなたに似たもののなかには繁殖するものもあり
あなたはあなたに似たものを買い控えたとしても
あなたに似たものは自然に増えていく
あなたがあなたに似たものを見つめると
あなたに似たものはあなたによく似て視線を合わせない
そしてあなたはあなたに似たものの視線を感じる時があっても
目を合わせることをためらってしまう
他の人が思い出すのはあなたのことではなく
あなたに似たもののことではないか、そう思うと
あなたはあなたに似たものの中でふと溺れそうになる
けれどあなたが溺れているのはいつも
あなた自身の中なのだ