微笑の般若
蒼木りん
美しい月の夜に
天女が舞い降りてきた
旅人は出会ってしまった
鈴の美声で唄うたい
水浴の蒼く照らされた玉肌に
欲望の火が点く
羽衣を盗むことで天女を手中にした
私の胸が騒ぐ
凪の湖に一風のさざめき
月にかかる雲
その鈴の美声で唄うたい
男が夢を見るうちに
天女は天に帰るべき
余計な情の湧かぬうち
天女に羽衣を渡したのは
私だ
哀れみと微笑の女面で
自由詩
微笑の般若
Copyright
蒼木りん
2004-05-13 00:57:05