オレンジ
有邑空玖

バックミラーを覗くともう君は見えなくて
なんだ、見送ってもくれなかったんだ、
と溜息。
本当は知っていたんだけどね。
あっさりしたところもスキ、
とか云わないけど。
あとから「楽しかった」の
メールが届くことくらい予想済みだし。

君ん家からの帰り道
名神のオレンジ色の明かりがまるで滑走路みたいで
そのまま遠くへ行きたくなる。
君から離れて
誰からも遠くなって
もしも帰って来なくなったら
一度だけ捜しに来てね。

オレンジ
その誘惑に負けそうになる。
寂しいとか、そんなんじゃないけれど
時々。



自由詩 オレンジ Copyright 有邑空玖 2004-05-12 19:28:56
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