詩で女性を口説くためのマーケティング論
いとう



この原稿を依頼されたときの特集名、
「女を口説く為の詩」でした。
じつはこの、「女を口説く為の詩」ってのが、
すでに口説くという行為から外れてるんですね(爆)。
「女」ではなく、せめて「女性」、できれば「女の子」。
このくらい柔らかくないといけません。
個人的には「為」ではなく「ため」のほうがいいとも思う。
「女を口説く為の詩」と「女の子を口説くための詩」。
イメージ全然違うでしょ?
女性から見てどちらがより好意的に写るかは自明です。


で、まずは二点ほど。

1.全然モテない人は口説いても意味ありません。あきらめましょう。
2.詩で口説くヒマがあるなら他の手段で口説いたほうが早いです。

モテない人及び他の方法で口説ける人は、これ以降読んでも意味ありません。
で、めんどくさいんで結論を先に言ってしまおう。
恋愛において詩は、手編みのセーターと同じ位置にあります。
ここに「詩=手編みセーター論」を提唱します。
扱いづらいアイテムなのです。
なので、逆に考えましょう。
手編みのセーターをもらって嬉しい状況。
これについて考察していきます。


自分の好きな相手なら何もらったって嬉しいです。
好きでもない相手に手編みのセーターをもらっても困ります。
セクハラと同じですね(ニッコリ)。
好きな相手にお尻を触られてもセクハラになりませんが、
好きでもない相手に触られたら蹴りが入るくらいじゃ済みません。
また、好きな相手でも触られたくないときに触られたら、
それもセクハラになります。
すなわち、相手の女性がこちらを向いていない場合、
詩の内容以前に、詩を贈るという行為自体が、セクハラに相当します。
そういうときに詩で口説くのはやめたほうがいいです。
キモイ、キショイ、しゅーりょー、で終わります。完全終了。
ある種、犯罪です。気をつけましょう。

「自分の好きな相手」について、もう少し考えてみます。
たとえば自分の好きな芸能人が詩を贈ってきたら?
詩を嗜む人なら好きな詩人でもいいです。
谷川俊太郎という、えっちなお爺ちゃんがいるのですが、
彼が詩を贈ってきたらどうだろう?
悪い気はしないんじゃないかな?

さて。
ここにどんな作用が働いているかというと、
詩、または詩を贈る人のブランド化がなされているのですね。
手編みのセーターがブランドのセーターとなっているわけです。
手編みとブランド。この差は大きいです。大きいというか、全然違います。
突破口はここにあります。
自分の手編み、あるいは自分自身を、ブランドにしてしまうのです。
「女を口説く為の詩」は自作詩のブランド化と直結しています。
詩のブランド化、これが詩で女性を口説くため方法論です。
ブランド化がなされていない場合、
まったく同じ詩でも口説くことはできません。
ブランド化して初めて、自分の詩が口説くための詩となります。
女性心理は不思議がいっぱいなのでございます。

そして、ブランドなら何でもいいわけではありません。
女性を口説くために適したブランドを構築する必要があります。
では、どんなブランドが女性を口説くのに適しているのでしょう。
ここでようやく、「どんな詩を書けばいいのか」に辿り着きます。
「どんな詩を書けばいいのか」について考えることは、
「詩を通して自分をどのように見せるか」だけでなく、
同時に、「どんな女性を想定するのか」ともつながります。
猫にシャネルを見せてもシャネルの価値などわかりません。
シャネルというブランドが力を持つ女性層があるように、
自分の詩が力を持つ層を把握する必要があります。
「女性」というターゲットを分類し、
それぞれの層に好まれる要素(ベネフィット)を抽出し、
そのベネフィットに適合する要素を散りばめるのです。

でまぁ、ターゲット分類とそれぞれのベネフィットの抽出とその対処法をやっ
てると本一冊書けてしまうので、個々のターゲットにほぼ共通するベネフィッ
トをいくつか挙げてお茶を濁します(笑)。

●恋愛詩であること

あくまでも「恋愛詩」であって「ラブポエ」ではありません。
ス○ップのライ○ンハートみたいなのを書いても気持ち悪がられるだけです。
反面、ラブポエで口説ける層もありますが、
後々たいへんなことになることが多いのでオススメしません(謎)。


●セックス描写はさりげなくあたりまえであること

まず童貞さん(素人童貞を含む)はここでアウト。
きちんと経験を積んでいないと詩なんかで口説けるわけありません。
で、「さりげなくあたりまえである」ことは、とても難しいです。
むやみにセックス描写が出てくるのは単なるセクハラです。
クドイ描写も、一発芸ならまだしもそれがウリとなるようでは、
ヘンな人を通り越してアブナイ人だと思われます。


●自分の願望を詩にしない

作中の女性を自分の願望(あるいは妄想)に忠実に動かすのは禁物。
女性は、なんかよくわかんないけど、
そういうのを匂いで感じ取ります。そして嫌がります。
あたりまえですが、男性の願望充足の道具にされるのを嫌がるので、
女性がそのように扱われている作品はマイナスポイントとなります。


●シチュエーションを細かく

女性は概してシチュエーション萌えです。
細かなシチュエーションほど萌えるようです。


●作中の話者を女性にしない

してはいけないというより、上級テクです。
慣れない人はほとんどの場合自爆するのでやめたほうがいいです。


以上、テキトーに書いてみましたが、結局のところ、
詩で口説けるかどうかってのは、
詩の資質以前に、その人の資質に負うところが大きいです。
どのような詩を書いても、その詩には、
作者がどのように生きてきたかが入り込みます。
そしてそれはもちろん、見透かされます。
ま、頑張ってください(笑)。




未詩・独白 詩で女性を口説くためのマーケティング論 Copyright いとう 2004-05-11 23:38:44
notebook Home 戻る  過去 未来