ハチドリたちの季節
がらんどう


ハチドリたちの季節、タービンは回る、小さな声で歌うように
頭上の日輪のように、熱死しながら、糸を紡ぐ、それは機械
赤い石楠花は大輪のままに、「儚げな」見せかけで、花弁を散らし
ただ地面に積もり、枯れる日を待つ、ただ待ち続けている

羽音はチチチチと囁くように歌う
夏の壊れた時計のように、秒針は同じ5分間を繰り返すのだ
<青いコードを切ってはいけない、赤いコードをお切りなさい>
同じ一小節の中で、時計はいつも同じ場所で停止する
それはいつも決められたはかりごと

窓の外には赤錆た鉄塔が見える
あれは「歴史」の亡骸なのだ
連行されたギタリストたちの音楽は
日光に焼かれた路上に貼りついたままだ
切断されたピアニストの指はチェス盤に載っている
それは赤い果実の吊される季節
「ころさないで」と鳥たちは歌う

それは窓の向こう側
ここでは雨音だけが続いている
それは窓のこちら側
それは地平線に吸い込まれる、拡がる水
陽炎の上を、水は遠くへと去っていく




自由詩 ハチドリたちの季節 Copyright がらんどう 2007-06-08 14:41:27
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