山の胎
アハウ

渓流の音を引きながら
潅木の尾根へ向かう

苔むした倒木
ぬめり しめり
厳しく鳴く 色とりどりの小鳥

影 押し寄せる
山の霊気

汗 額を伝い
心拍はあがる

狂気のような静けさと
体内の荒れ狂う 血流
一休み 視界が狭まる


ここからは 山の胎
臍の緒は倒木に絡みつき

我ら胎児のように丸くなり
それをくわえる

山の神様と一緒になって
夢を見る

あぷ あぶ ばぶー

山の胎
薄緑に優しく
我らを包み 養い

テレビでは遭難のニュースが流れ


自由詩 山の胎 Copyright アハウ 2007-06-07 15:57:33
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