おっぱい
大覚アキラ

蝉の声降り注ぐ非常階段で
噛み千切るみたいにして

きっと
これでもう最後だから

甘い汗の匂いも
舌に残る塩辛い苦さも
肺から洩れる吐息も
腰を掴む指の強さも
腿の内側を撫でる風も
肩越しに揺れる木漏れ日も

ぜんぶ焼き付けて
刺青みたいに焼き付けて
ここに
白くふくよかなここに

いつか何もかも
忘れてしまう時が来ても
決して
消えてしまわないように


自由詩 おっぱい Copyright 大覚アキラ 2007-06-07 09:34:36
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