頽廃と軽薄は美しい肉体に宿る

夜の匂いとか、別れの前の静寂とか、
劇場の空気や匂い

月にかかった雲、夜の街灯

朝方のピンははりつめた空気
夕焼け真じかのの紅いろのそら

暖かいお茶、
まだ色がついていない白い紫陽花

髪の毛のいいにおい
薔薇の蕾、死んでしまった仙人掌
夜の江ノ島海岸、
泣き出しそうな曇り空
寝顔と泪と、体温
滑り込むベッドの温度
優しい爪の形
足音、コツコツ屋さんの夜のみち

女の人のいやらしさ

とても受け流すことはできなくて
今は抱え込む時期なのかもしれないけれど、
救いを求むることもできず、眠ることも出来ず、
夜は幾らかの冷たさを持ってふけてゆく


自由詩 頽廃と軽薄は美しい肉体に宿る Copyright  2007-06-05 03:03:59
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