Go West
あveC

歩いた
俺は歩いた
俺はいつも一人ぼっちだ
だから歩いた

となりの町へ
隣の県へ
隣の国へ
海の向こうへ
どこへでも歩いた

知ってるやつなんていやしない
いろんなやつと出会って
別れた
それでも歩いた

誰も止められやしない
止める気もない
目の前にある道を
俺は歩き続けた

天変地異が起ころうが
戦争が起きようが
なにがあっても
歩き続けた

いつものように雨が降り
そして消えた
なんてことない朝
俺は歩く

「やぁ、ひさしぶりだね」
そいつは歩く俺に言いやがった
雨の上がった翌朝に
歩き続ける俺に

「今日も元気に行こうか」
俺の気持ちなんて考えやしねえ
泣きたくて、怒りたくて、笑いたかった
うつむき歩く

「今日もお別れだね」
西の空、そいつは悲しげに言った
「それじゃあね」
俺は走っていた

「また、会えるよな」
俺は叫んだ、あいつに届くように
おおきな声で空に向かって
いつしか歩みは止まっていた


自由詩 Go West Copyright あveC 2007-06-02 02:27:23
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