或る雨の夜に
朽木 裕

(強がる心は知らぬふり
くちびるが嘘をつくから、ね)

夜の糸は はりつめて
私と貴方を繋ぐのでしょう
その糸をゆっくりゆっくりと
地獄から手繰り寄せるもの、有り
からりからまるその糸が
首にかかったが、最期
三日月が血を得て笑う

音もない雨のような殺人に
君は目を大きくして驚くのでしょうか
怒り心頭といった状態で私をぶつのでしょうか
音もなく雨 赤い赤い雨
やさしい君は私を抱きすくめて云いました


ごめんね


指先から蜘蛛の糸
私は酸素を失いただ泣きぬれたのでした


自由詩 或る雨の夜に Copyright 朽木 裕 2007-06-01 21:26:57
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