村祭り
砂木




正気なうちに 帰ろう

まっかな顔で 父さんが
にこにこ と ひそっと 言う

あはは と 笑いながら
母さん に よっぽど 言われたな
私は 濃いめの お茶を入れる

酔っ払い だいすきな父は お酒が入ると
本当は 歌って 踊って
十八番を えんえん と 繰り返す

飲んだからには酔うのが礼儀
酒は 飲んでる方が 体には好い 自説

たあん と飲んで うたって
でも 娘の嫁ぎ先じゃあね
そりゃあ 無理 というもの

嫁が作ったなんぞと わざわざ義母に言われて
まずそうな のりまき うまい と くっている

酒を飲ませたくないんじゃないんだよ
父さんが 笑われるのが いやなんだ

さあ 帰るぞ

なんとか 歩きつつ
お客さん達に 礼をしつつ
すたり 歩く とうさん

とうさん



自由詩 村祭り Copyright 砂木 2004-05-10 00:57:26
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