村祭り
砂木
正気なうちに 帰ろう
まっかな顔で 父さんが
にこにこ と ひそっと 言う
あはは と 笑いながら
母さん に よっぽど 言われたな
私は 濃いめの お茶を入れる
酔っ払い だいすきな父は お酒が入ると
本当は 歌って 踊って
十八番を えんえん と 繰り返す
飲んだからには酔うのが礼儀
酒は 飲んでる方が 体には好い 自説
たあん と飲んで うたって
でも 娘の嫁ぎ先じゃあね
そりゃあ 無理 というもの
嫁が作ったなんぞと わざわざ義母に言われて
まずそうな のりまき うまい と くっている
酒を飲ませたくないんじゃないんだよ
父さんが 笑われるのが いやなんだ
さあ 帰るぞ
なんとか 歩きつつ
お客さん達に 礼をしつつ
すたり 歩く とうさん
とうさん