砂流
ae96






「砂流」

       

       可憐にゆれる空の下

         あまりにも

        子守唄のような

         風の声に

          笑う俺たち。

       
       
          時を分解し 

          ありとあらゆる

          神秘的なネジや歯車を

          どこか おもいつくかぎりの 

          とおくまで

          ちからいっぱい

          投げ放つ。

      
          
          きっと 

          そんな遠くまでは飛ばないけど。

       
          可憐にゆれる空の下


          おもいつくかぎり とおくまで

          ちからいっぱい

          投げ放つ。


            ひとつひとつを握り締め
       
            何度も 何度も

            ちからいっぱい

            投げ放つ。

       
            ひとつのこらず

            投げ放つ。


             もし俺が俺を解き放ち

             俺がとまったとしても

             世界という時間は

             いたって冷静に 

             時を刻むのだろう。

       

           それはけっして

         残酷なことなんかじゃない。

 
          誰かが なにか を受け継いで

         いつか いちまいの絵を描き上げるように

         なにかをつくりあげてくれるんだもの。

 
          俺は その芸術的歴史の 一部分として

             生きていられること 

             ちょっと大袈裟だけど。

             誇りに想っているんだ。


       

       
               だから

       
          しめつけられるような日々だろうが

          つきつけられるような日々だろうが

          おいつめられるような日々だろうが


         
              「うけてたつ。」

     
          
                  




               砂時計の砂は 

              やがて しずかに 

               サラリサラリと

                流れ落ちる。

          

                 そして
    
          
                ひっそりと 

                ヒストリーは 

                 針を進める。

 
          

                 だから俺は


              動けるうちに 動きまわり

              やれるうちに やりまくる。

         

               やがて俺は土と散り

               土はやがて砂と散り

               砂はやがて塵と散り

         
          塵はやがて星へと生まれ変わるのだろう。



        
             可憐にゆれる空の下

               あまりにも

              子守唄のような

                風の声に

               笑う俺たちは

            時の風化に見守られながら泳ぐ 

       
             砂でできた魚みたいなんだ。




          

                        
          
        
          


自由詩 砂流 Copyright ae96 2007-05-31 01:20:06
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