沈黙と蝶
石瀬琳々

夏の野は沈黙の果てみつめあう
    だけのくちづけ唇に蝶


じっとして壊れないよう忍び寄る
    白い羽には光だけ射し


言葉などもはやいらない君をつれ
    夏の丘へと逃げる細足


けれどもう絡む深草指先の
    蝶を逃がして倒れこむ道


愛というその白日夢うなだれる
    虫取り網の少年われは




短歌 沈黙と蝶 Copyright 石瀬琳々 2007-05-25 14:37:44
notebook Home 戻る  過去 未来
この文書は以下の文書グループに登録されています。
薊道