月下夜想
佐野権太

月光をすくい、すくって
髪を洗い
ほっそり
とうめいな櫛を曳く

鎮まってゆく肌、肌に
しみこんでゆく
流麗な調べ


呑まれても
ひとひら
抱きしめても
ひとひら
ふりつもり
たゆたう夜の花筏はないかだ


ささやく窓辺に
ぽぅ、と白がともり
まわりから
すいこまれてゆく

広い夜空を
おもはゆく
またたく星、星の
静けさ

こぼれるほどの、しん






自由詩 月下夜想 Copyright 佐野権太 2007-05-23 13:44:44
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