バランス世界
霜天
かちかちと
音を投げる時計に
埋め込まれた私達
いつもためらいがちになってしまうから
いつまでも流れに乗れなくなってしまうね
間違ってないなんて
そんな言葉は難しくて
傾いて見える世界で
何を見ていたのか
そんなことも曖昧になってしまう
落ちてしまえば
遠く遠く
道端のマンホールの蓋の内側みたいな
そんな暗さに捕まってしまいそうだから
かちかちと
押し寄せる秒針の側で
懸命にバランスをとる
つま先立ちでは耐えられないんだ
通りをなぞる風の仕草を真似たい
柔らかで強くて優しくて無心で
あのバランスが
今は欲しい
自由詩
バランス世界
Copyright
霜天
2004-05-07 17:07:29