寒月夜
蒼木りん
勝手に傷ついて
眠ってしまおうとした
名残りに
カアテンの間から見たのは
氷の海に漂っているような月で
たぶん
あの人はいま お喋りに夢中で
あの月の悲しげな色なんて
知らないのだろう
この月を
どのくらいの人が見ているだろう
今夜
私の窓辺に招いて
音の無い言葉で語る
傷つくことに慣れてしまえばいい
黒を白にする業を身に付ければいい
私はあした
顔を上げて歩けばいい
自由詩
寒月夜
Copyright
蒼木りん
2004-05-07 08:06:21