かげりとかげらぬもの
黒川排除 (oldsoup)

うっすらと花を押さえるのは見ぬふり

小鳥が浮かんだり沈んだりする空か水

また鴉に戻ろうとした墨汁で書く

ごみを焼く朝の延焼覆う影

無償ではたらく室内窓割って室外

テーブルにカメラ置くパリ常に動き

終電の内部で時雨に突く頬杖

家庭科室で粉握りしめ誰かの手

水撒いた野原に頼まれて帰る

花は朽ち銀河の紫は踊る

深夜唸る自販機ビルと対比して

スイッチ踏むと蛾の形に切り抜かれる現実

象の箱に立派な取っ手付けてもらう

顔に触れるカーテン・鴎のはばたきなど

眠り危うく本の並びに迷いこむ

いつか見た昔のわたしも同じ朝

風に揺れぬ半畳ほどが部屋の芯

ひかり跳ねる水源ちかくにニス塗って

手続きに燃えて見える林 肌色

花束にするときだけ外す目隠し


川柳 かげりとかげらぬもの Copyright 黒川排除 (oldsoup) 2007-05-18 00:06:28
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