昔話
たもつ

桃太郎の話をしてくれた両親も
物語のおじいさんやおばあさんと
同じくらいの歳になった
今の時代、洗濯は機械がしてくれるけれど
腰が痛いと言うので
今日は妻が洗濯物を干してる
僕はいつものとおり
父のためにパイナップルを切る
震えの止まらない手で八分の一ずつ食べ
規則正しく八日間周期で一個食べ終わる
いずれパイナップルを切る必要もなくなる
もしくは切る人がいなくなる
時々仕事の話をすると
黙って頷きながら聞く
息子は勇敢でなくとも毎日戦っている
僕だけじゃない
皆いろいろなものと戦っているのだ
そんな昔話を
誰も語り継がないでほしい


自由詩 昔話 Copyright たもつ 2007-05-14 21:27:45
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