虹色の少年 
服部 剛

虹色の服を着た少年が 
壁をよじ登る 

若い母は 
きゅっ と眉をしかめ 
平手で幼い尻を 
幾度も叩く 

( 次男坊は、黙って菓子を、食べていた ) 

母の隣に座らされた少年は 
半ズボンをはいた
不屈の足で立ち上がり 
小さい椅子の舞台で踊り 
ぱん ぱん 両手を鳴らす 

母はクレーンの手をのばし 
乳の匂いのする首ねっこを 
吊り上げる 

( 次男坊は、菓子の袋を、覗いてた ) 

ふたたび壁をよじ登る 
虹色の小さい背中 

離れた場所で 
眺めるわたしは 
無言のエールを 
贈った 





自由詩 虹色の少年  Copyright 服部 剛 2007-05-14 00:25:24
notebook Home 戻る