童子
なかがわひろか

童子よ

その昔
お前がまだ胎児になる前
私は一つの過ちを犯した

童子よ

重たくなるお腹に
私は言いようもない義務感と矛盾で
一体何が入っているのか分からなくなるときがあった

童子よ

お前はすべての汚れた物を
浄化するようなくりりとした目で
世界と対面を果たす

童子よ

私の過ちは
お前にとっては他愛のないことだったのだろうか
お前はただただ美しく育つ

童子よ

手をつなぎ
声を合わせ
私は歌う
お前と歌う

童子よ

生まれてごめんと言うお前に
私は何も言い返せない
世界はお前を見ている
お前は
何を見るか

童子よ

産んでごめんと言う私に
お前はどうして
笑いかけるか

(「童子」)


自由詩 童子 Copyright なかがわひろか 2007-05-10 01:39:23
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