「ゆうれい列車」
ソティロ

「ゆうれい列車」




ホームで下を向いていたので
うっかり
ゆうれい列車に乗り込んでしまった
しまった
向かい合った二列のゆうれいたちが
脚をそろえて腰掛けている
脚は途中からない
ひとつだけ空いていた席に座る

最近のゆうれいたちは
温和しく礼儀正しいみたい
人間よかよっぽどましに見える

たぶんゆうれい携帯もマナーモードで
ひゅーどろどろとか
そうゆう着信怨も響かない


列車は各停で
ゆっくり進む
地下鉄なので
風景などない


薄暗い照明と
車外の暗闇が
鏡にした窓に
ぼくだけ映る


ガタンゴトン
ガタンゴトン


ガタンゴトン
ガタンゴトン


ぼくは好奇心に駆られて
勇気を振り絞って
となりの一人?に
こっそり訊ねた


 みなさんどちらへ行かれるんですか?

 何を仰います
 わたしたちは
 行くところがないから
 ゆうれいなのです

 はあ
 なるほど
 それは失礼しました





て、俺もそうか




ガタンゴトン
ガタンゴトン




ゴトン




自由詩 「ゆうれい列車」 Copyright ソティロ 2007-05-10 01:18:29
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